スティーヴィー・ワンダー
キー・オブ・ライフ
Stevie Wonder
Songs in the Key of Life
スティーヴィー・ワンダーは、ブラック・ミュージックの枠に止まらない、独自の音楽性で道を切り開いていきました。
彼の最大の作品であり、ピークを極めたのが「キー・オブ・ライフ」であることに異論を唱える人はいないでしょう。
2枚組に収められた「人の一生」のさまざまな断章。
マルチ・プレーヤーのスティーヴィーは、それまでほとんど全ての楽器を自分で演奏していましたが、この作品ではめずらしく多くのセッション・ミュージッシャンで脇を固めました。一世一代の2枚組を、さすがのスティーヴィーも一人では作れなかったのでしょう。当時のレコード業界の常識をはるかに上回る製作予算だったらしく、所属するモータウン・レコードにとっても大きな賭けだったようです。
結果は、あらゆる音楽的手法を駆使した一大音絵巻となりました。ソロ・アーティストの到達点としては、これ以上のものはないと言い切ってもいいでしょう。ヒット曲も、「愛するデューク」、「回想」、「可愛いアイシャ」等々多数生まれました。ビルボード・アルバムチャート14週間1位。76年グラミー賞アルバム・オブ・ザ・イヤーと堂々たる結果を残しています。
スティーヴィーの音楽には、実は「とげ」があって、それが大きな魅力になっていました。ポピュラーな曲にも非常に高度なコード進行を折り込み、高い音楽性を保っていました。A-4のインスト「負傷(Contusion)」など鳥肌ものです。
その魅力が急速に失せていくのは、より大衆受けするヒットソングが出始めてから。「パートタイム・ラバー」「アイ・ジャスト・コール・トゥ・セイ・アイラブユー」などはその典型です。たくさん売れました。だけど、ユニークな魅了は消えてなくなり、徐々にヒット・チャートからも遠ざかっていく運命になるのです。大衆に受け入れられるポピュラリティーと、音楽性の維持というのは本当に難しい問題です。
スティーヴィーのピーク時のすごさを手近に知りたいなら、ベスト盤「ミュージック・アクエリアム(Original Musiquarium)」がおすすめ。特に、新録の2曲(「Do I Do」と「That Girl」)が、現代的でとんがってたスティーヴィーの最高峰だと思っています。たくさんベスト盤出てますけど、なんと言ってもこれです。
ほかに代表作は、次の三作で決まりですが、やっぱりとんがってる「インナーヴィジョンズ」ですね。
トーキング・ブック(72年)
インナー・ヴィジョンズ(73年)
ファースト・フィナーレ(74年)
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