ジミー・ウェッブ
テン・イージー・ピーシズ
Jimmy Webb/Ten Easy Pieces
ジミー・ウエッブはバート・バカラックほどの知名度はありませんが、多くの名曲とヒット・ソングを生んだコンポーザーとして、歴史に名を残すべき存在でしょう。
小柳ゆきのカバーした「マッカーサー・パーク」は1978年、ドナ・サマーによって3週間全米チャート首位となったウエッブ最大のヒット曲です。
個人的には、フィフス・ディメンションの「ビートでジャンプ(「Up, Up and Away」 67年全米7位)」がサイコー!生涯ベストの一曲だと思っています。おしゃれな躍動感あふれるイントロを聴くたびに、ワクワクしちゃいますね。
ジミー・ウエッブの音楽は、非常に洗練されてているとともに、どこか素朴な味わいが同居しており、思わず胸にギュッと来ます。遠いアメリカの風景をイメージするような、なつかしい気持ちになるんです。
土の香りのするバカラックといいますか・・・。
詞がまたいいんです。
音楽の殿堂は「曲」に注目するのがポリシーですが、ジミー・ウエッブだけは、どうしても歌詞と一体となって魅力を生んでいるので、無視するわけには行きません。
例えば「ウィチタ・ラインマン」。69年、グレン・キャンベルの歌唱で全米3位となった大ヒット曲ですが、主人公は、なんと、アメリカのド田舎、荒涼たるウィチタで働く電話の架線工事人という設定なんです。休まず修繕工事をしながら、遠く離れた恋人への想いを電話線にのせる、といった歌なんです。目のつけどころが独特でしょ?
そして「恋はフェニックス/By the Time I Get to Phoenix」。同じくグレン・キャンベル。全米27位、グラミー賞受賞。邦題が誤解を招きますが、別れの歌です。グッときます。
訳しちゃいます:
ボクがフェニックスに着くころには、彼女は起きてるだろう
そして、ドアにつるしたメモに気づくはず
彼女は笑うに決まってる
だって、ボクは今までなんども別れを口にしてきたから
アルバカーキに着くころには、彼女は仕事してるかな
お昼どきに、ボクに電話をするかもしれない
でも電話にはだれも出ないんだ
オクラホマに着くころには、彼女はたぶんベッドだ
寝返りをうって、ボクの名前を呼ぶんだ
そして、彼女はきっと泣く。ボクがほんとに去ったと知って
ボクはなんども別れを伝えようとしたけれど、
彼女はいつも本気にしなかったんだ
ボクは伝えようとしたんだけれど・・・
「テン・イージー・ピーシズ」は、1996年にリリースされたジミー・ウエッブのソロ・アルバムです。自身の作品を集めたベスト盤的内容で、上記のほか、次のようなヒット・ソングが入っています:
・ガルベストン/Galveston (グレン・キャンベル):69年 全米4位
・恋のハプニング/Worst That Could Happen(ブルックリン・ブリッジ):69年 3位
・友に捧げる賛歌/All I Know (アート・ガーファンクル):73年 9位
・月はいじわる/The Moon's A Harsh Mistress (リンダ・ロンシュタット):82年
ほとんどすべてウエッブによるピアノ弾き語り。ギターやアコーディオンなど、ほんの少しだけ彩をそえるというシンプルなアレンジです。ところが、それだからこそ、ひとつひとつの曲の魅力がくっきり浮かび上がり、聴く人の心を静かに感動で満たしてくれます。ウエッブのヴォーカルは決して上手とは言えませんが、張りのあるテノールで、味わい深く、特別な作品に仕上がりました。
90年代に入り、ジミー・ウエッブのちょっとしたリバイバルがおこり、おしゃれなスタイルだけ真似したようなのもありましたが、ホンモノは、そんなものとは全然関係ない深みを今もたたえています。
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さて、そのほかおすすめは:
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フィフス・ディメンション/ マジック・ガーデン
The 5th Dimension/ The Magic Garden
大ヒットした「ビートでジャンプ」のフォロー・アップとして、ジミー・ウエッブに全面的にゆだねられた67年のトータル・アルバム。最高位105位とチャート的には振るいませんでしたが、フィフス・ディメンションの都会的コーラスとウエッブの相性バッチリ。存分に楽しめる内容です。「ビートでジャンプ」はベスト盤でどうぞ。 |
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アート・ガーファンクル/エイミー・グラント 動物たちのクリスマス
Art Garfynkel/Amy Grant The Animals' Christmas by Jimmy Webb
これは変わり種。全曲ジミー・ウエッブにより作・編曲されたクリスマス・アルバムを、これまたウエッブ・メロディーの常連歌手アート・ガーファンクルが、エイミー・グラントと組んで歌唱したもの。非常に高度な芸術作品となっており、心洗われます。 |
Twilight of the Renegades
「裏切り者のたそがれ」。ジミー・ウェッブ9年ぶりのアルバムは、いかにもアメリカ西部といった雰囲気のタイトルとジャケットに包まれて発表されました。
12曲の新作。前作とは異なり、ドラムやベースなどのサポートも加わったスタジオ盤ですが、全体の手触りは、前作と同じしっとりした「弾き語り」のムードが支配しています。
ウェッブのヴォーカルは野太く「男くさい」ので、こってりしたバックがつくとしつこいのですが、今回、伴奏はあくまでシンプルに寄り添うように、ぴったりフィットしています。
ウェッブの曲造りは衰えておらず、ていねいに作り込まれた新作を提供しています。土の香りがするんだけど、どこかひねりがあってモダン。ジミー・ウエッブの個性はきちんと生きています。でも、こういう曲は現代にはつらいんだろうなー・・・。
これも、歌詞がイイです。
例えば、5曲目「スペイン語のラジオ/Spanish Radio」。今はアメリカ西部のアイダホに住む「わたし」が、かつてのメキシコでの生活に想いを馳せます。
スペイン語のラジオを聴くのは、今でも好きだよ
ここはリオ・グランデの1000マイルも北だけど
メキシコの人たちが、音楽を楽しんでいたのを思い出すんだ
どんなことを歌っているのか、よく分からなかったけれど
今でもスペイン語放送が好きなんだ
僕らがマリアッチ・バンドにあわせて踊っているような気分にさせてくれる
君は、きっと僕を愛していなかったんだろう
君は、それをなんとか僕に伝えようとしていたんだ
少し分かりにくい言葉だったね・・・。 |
さて、注目すべきは、2曲でジェフ・ポルカロがドラムを叩いていること。ポルカロは、1992年に亡くなってるんだけど・・・。ベースはりー・スクラー、ギターはディーン・パークスってことで、これは1982年、ジミーウェッブのソロ「エンジェル・ハート」の時のセッションのアウト・テイクなんではないでしょうか。
そのメンバーで、アルバム最後を飾る楽曲「流木/Driftwood」は、非常にダイナミックで、聴きごたえ充分な作品に仕上がっています。
今年59歳のジミー・ウェッブ。本作を引っさげて、アメリカやヨーロッパでツアーも計画しているようで、まだまだ元気です。
これからも、たまにでいいから作品を発表して、私たちを楽しませてもらいたいものです。
「Twilight of the Renegades」はHMVでどうぞ(「GO」を押してください)
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<アルバム・データ>
発表年:1996年
レーベル:Guardian
曲目:
1. Galveston
2. Highwayman
3. Wichita Lineman
4. Moon Is a Harsh Mistress
5. By the Time I Get to Phoenix
6 .If These Walls Could Speak
7. Didn't We
8. Worst That Could Happen
9. All I Know
10. MacArthur Park
プロデューサー:Fred Mollin
エンジニア:Glen Marches
全米ランキング: 記録なし
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<主要アルバム>
Jim Webb Sings Jim Webb (1968)
Words & Music (1970)

And So On (1971)
Letters (1972)

Land's End (1974)

El Mirage (1977)

Angel Heart (1982)

Suspending Disbelief (1993)

Ten Easy Pieces (1996)
Twilight of the Renegades (2005)
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