カーペンターズ / 涙の乗車券
Carpenters / Ticket To Ride
ポップスは、決して「簡単な」音楽ではありません。
聴きやすくて歌いやすくても、作るのは大変です。限られた時間に、キャッチーで覚えやすい要素を盛り込み、多くの人に愛される曲を作り込む。アメリカン・ポップスの伝統は、まさに洗練されたワザで織り上げる職人芸の世界です。
カーペンターズは、「理想のポップスを構築する」ということに関しては、ほかに並ぶ者のいない不滅の存在だと思います。
1970年、2枚めのシングル「遥かなる影/(They Long To Be Close To You」が全米1位(4週連続)、100万枚突破。グラミー賞2部門(最優秀新人、ベスト・ヴォーカル・パフォーマンス)を受賞するなど、まさに「大ブレイク」したカーペンターズ。その後の快進撃は、説明するまでもないでしょう。
「涙の乗車券/Ticket To Ride」は、そんなカーペンターズのデビュー・アルバム。その魅力はデビューの時に完成していました。
リチャードとカレン。若い二人が、アマチュアの時から暖めていた曲を一生懸命披露します。
全体を取り仕切るのは兄リチャード。あくまで繊細に上品に。どの曲も完璧なアレンジでカーペンターズ・サウンドに昇華し切っているのが、すごいところでしょう。若いのに、恐るべき職人芸!
そして、なんと言っても、カーペンターズの魅力はカレンのヴォーカルです。やや低めのアルト。ひたすら清らかに、折り目正しく。鍵は、その声のどこかに、かすかにただよう「孤独」の影。独特なメランコリー感だと思います。
一曲目の「祈り」。これは最後の「神の祝福を」とペアをなす曲で、まるで「賛美歌」です。今でも聴くたびに、敬虔な気持ちにすらなります。そして、「いつの日か愛に(Someday)」。カレンの独唱と雄大なオーケストラが一体となり、切ない気持ちで胸が締め付けられます。
第一弾シングルはビートルズの「涙の乗車券」。チェンバロを使った大胆なアレンジで、原曲とずいぶんちがう格調の高いイメージになりました。やるもんです。ランキング的には54位とまだまだでした。
アルバムも全米150位と、チャート的には振るいませんでしたが、ブレイク前のまさに鮮烈な、清々しい魅力にあふれたデビュー作として忘れることができません。
実は、1969年に発売されたアルバム「Offering(左写真)」こそ、カーペンターズの本当のデビュー盤なんですが、なぜかジャケットを変えて再発されたのが、この「涙の乗車券」です。「Offering」はかなりレアなようで、見たことがありません。相当なお値段がついているようです。
なお、わたしの持ってる「乗車券」の日本盤CD(92年)には「遥かなる影」が入ってますが、正式には入っていない13曲が正しいです。最初のLPもそうなんですけど、日本で勝手に(?)まぜてお得な感じにしたのではないでしょうか。
「涙の乗車券」はAmazonでお求めいただけます。
1982年2月4日、32歳の若さで拒食症で亡くなるというショッキングな生涯を遂げたカレン・カーペンター。その実生活は、決して幸せではなかったようです。そんな、どこか「薄幸」なイメージが個性でもあったんですね。いつまでも健康で、幸せなアメリカン・ファミリーのイメージを引きずって、二人にはちょっとしんどかったのかもしれません。
アメリカン・ポップスのひとつの頂点として、カーペンターズはこれからも多くの人に聴き継がれて行くはずです。
殿堂シングル部門第4位、「遥かなる影」はこちらへ。
さて、そのほか、特におすすめのカーペンターズのアルバムは:
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カーペンターズ Carpenters
71年に発表された第3作。成功をがっちり手にした彼らが、じっくり作り上げた堂々たる作品です。全米2位(2週間)。400万枚突破。「雨の日と月曜日は」、「二人の誓い」、「スーパースター」収録。バカラック・メドレーなどもりだくさんです。
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メイド・イン・アメリカ Made In America
81年発表。カレンが存命中にリリースされた最後のアルバム。迷いを吹っ切ったようなポップ王道路線への回帰は、リチャードの不変な「鉄壁アレンジ」もあって、非常に完成度高いものです。「タッチミー」は全米16位。彼らにとっての最後のヒット・ソングとなりました。
これもぜひAmazonでご覧下さい。 |
そのほか、カーペンターズのCDはこちらから
カーペンターズは、HMVでも扱っています(「GO」を押してください)
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<アルバム・データ>
発表年:1970年
レーベル: A&M
プロデューサー: Jack Daugherty
エンジニア: Ray Gerhardt
曲目:
1. 祈り
2. ワンダフル・パレード
3. いつの日か愛に
4. ゲット・トゥゲザー
5. 私のすべてをあなたに
6. ターン・アウェイ
7. 涙の乗車券
8. 恐れないで
9. 何になるの
10.オール・アイ・キャン・ドゥ
11.眠れない夜
12.歌うのをやめた私
13.神の祝福を
<主要アルバム>
涙の乗車券
Ticket To Ride 70年 150位
遥かなる影 Close To You
70年 2位 ダブル・プラチナ

スーパースター Carpenters
71年2位 400万枚
トップ・オブ・ザ・ワールド
A Song For You
72年 4位、300万枚

ナウ・アンド・ゼン Now & Then
73年 2位 200万枚

ライヴ・イン・ジャパン
Live In Japan 75年

緑の地平線 Horizon
75年 13位 プラチナ

見つめあう恋 A Kind Of Hush
76年 33位 ゴールド

ライヴ・イン・ロンドン
Live At The Palladium 77年

パッセージ Passage 77年 49位

クリスマス・ポートレイト
Christmas Portrait 78年145位

メイド・イン・アメリカ
MadeIn America 81年 52位
ヴォイス・オブ・ハート
Voice OF The Heart
83年 46位 ゴールド

オールド・ファッション・クリスマス
An Old-Fashioned Christmas
84年 190位 ゴールド

Lovelines 89年

レインボウ・コネクション
As Time Goes By 2001年

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